衝撃弾性波試験(iTECS)とは
我が国では、高度成長期以降に集中的に整備されたコンクリート構造物が、今後一斉に高齢化します。そのことは、現在社会問題にまで発展しており、高齢化したコンクリート構造物の品質や維持管理の重要性が指摘されています。
衝撃弾性波試験(iTECS)は、構造物に損傷を与えることなく、測定が簡単であるため、今後コンクリート構造物の適切な品質ならびに維持管理に最も注目を浴びる非破壊試験です。
当社では、このiTECS技術を利用して、コンクリートの厚さ、弾性波速度およびひび割れの深さ等の調査を行っています。
弾性波速度測定
弾性波速度は、下図に示すように、コンクリート構造物の表面をインパクター(鋼球)で軽く打撃し、弾性波を発生させ、2つのセンサー間の伝搬時間差を読み取ることにより求めることができます。この際、打撃点は2つのセンサーを結んだ直線上とします。
コンクリートの弾性波速度は、同一配合の場合、圧縮強度と良い相関関係を示すことから、配合試験を併用することにより、コンクリートの圧縮強度の推定も可能です。
弾性波速度測定の概要図
弾性波速度と圧縮強度の関係図
コンクリートの厚さ測定
コンクリートの厚さは、コンクリート構造物の表面をインパクター(鋼球)で軽く打撃し、定常波(衝撃弾性波の多重反射)を発生させ、この定常波の周波数を分析し、波長との関係からコンクリートの厚さを算出します。
取得したデータをスペクトログラム解析することにより、内部欠陥の検出もスペクトルパターンによって判断することも可能です。
厚さ測定の概要図
厚さ測定の測定波形例
ひび割れの深さ測定
ひび割れ(クラック)の深さは、下図に示すように、ひび割れから打撃点および受信点までの距離Lを等しくして測定し、弾性波が障害物を回折する際に、波形の位相が変化する性質を利用して判定することが可能です。
この位相が変化する境界を「臨界」、このときの角度を「臨界角」と呼び、角度θ<臨界角の場合には引張波、θ>臨界角の場合には圧縮波となります。なお、コンクリートの臨界角は約90°です。ひび割れの深さは、位相が反転する距離を求めることで測定することができます。
ひび割れの深さ測定概要図
測定装置
測定機械(iTECS-5)
測定状況例