ボアホールソナー(Borehole sonar)とは
ボアホールソナーの原理は、基本的にIT試験と同じであり、杭に設けられたボーリング孔に測定装置(ゾンデ)を挿入し、人工的な衝撃を水平方向に与えることにより弾性波を発生させ、地盤との境界部からの反射を読み取ることにより、その形状などを推定するものです。この調査は、φ86mmまたはφ116mmボーリング孔を利用します。
現在主に、場所打ち杭や既製杭根固め部の出来形管理に用いられていますが、地盤改良柱体にも適用も可能です。
測定は、所定の測定深度までゾンデを降ろし、コンプレッサーとエアホースを用いて、孔壁にエアーシリンダーでゾンデを押し当てて行います。
測定器(ゾンデ)は、パソコンの操作により、組み込まれた発振子で杭の円周方向に弾性波を発生させ、杭や根固め部内を伝播した反射波を組み込まれた受振子により測定できる構造になっています。
ボアホールソナーの概要図
結果の整理方法
現地での測定では、下記に示す波形図が得られます。この波形図から、地盤との境界部までの到達時間を読み取り、ボーリングコアによる弾性波速度測定で得られた速度を用いて、場所打ち杭や既製杭の根固め部の半径を推定します。なお、推定半径は、下式により計算します。
※ 推定半径=反射波の伝播時間×弾性波速度/2+ボーリング孔径/2
測定波形図の例(1方向)
上式により8方位で求めた杭や根固め部の推定半径は、各測定深度について、下記に示す断面図(チャート図)で整理します。
杭の形状推定の例(断面図の場合)
また、場所打ち杭の場合は、必要に応じて、各測定方向についての深度分布図(杭姿図)に整理します。
杭の形状推定の例(深度分布図の場合)
ボーリングコアによる弾性波速度測定
弾性波の伝播速度は、先にも述べた通り、ボアホールソナーにより杭や根固め部の形状推定する際、必要な情報であるため、コアボーリングによって採取したコアを用いて測定します。
ボーリングコアによる弾性波速度測定方法は、供試体(ボーリングにより採取したコア)の片面に発振子(写真左下センサー)を、もう1方の面に受振子(写真右下センサー)を押し当てて、P波の伝播時間を測定します。弾性波速度は、測定した時間と供試体の長さから求めます。
弾性波速度測定装置の例
弾性波速度測定装置の仕様例
圧電型加速度アンプ | TEAC SA-630 DC Amplifier |
発振同期装置 | GMM パルス幅(10.20.40.70.100μ) |
AD変換装置 | High Speed A/D Converter 「TUSB-0212ADM」 |
サンプリング速度 | 500MHz/14bit |
振動子 | 積層型圧電素子 GMM R35-94 |
加速度計 | 圧電型加速度計 TEAC 508B 周波数2~30kHz |